神隠し

神隠し。
人間がある日、忽然と、生きていた痕跡すらなく消え失せる現象のことを言います。


本当の神隠しとは、人の記憶からすら消え失せてしまうという話もあります。
じゃあどうして神隠しが起きたとわかるのか、というと残された生活品や僅かな痕跡から、「誰かがいた気がする」という気持ちの悪い感覚を覚える。
そこから神隠しが起きたと、判断するしかないわけです。
以前、拙い文章ではありますが、「山」という短編小説ではこの神隠しをテーマに書かせていただきました。

画像は禁足地として知られる、千葉県市川市八幡にある"八幡の藪知らず"。
入ると2度と出ることができないとされています。

さて、神隠しの正体でありますが、全てが超常的な現象というわけではありません。
と言いますと、実際には口減らしや拐かし、失踪、監禁。さまざまな要因があったようです。
また、記憶障害や知的障害のある人、精神疾患のある人が神隠しにあいやすかったとも言われています。



それでは現代日本では、どういった原因で神隠しが起きるでしょうか。


ここでは警視庁から発表されている、令和元年の失踪者数を見てみたいと思います。
簡単な資料なので、是非お目通しを願います。
資料を読むと失踪届が出され、受理された人数は、令和元年で86,933人。
その他割合は参考資料に譲りますが、10〜20代の割合がとても多く、70代以上は増加傾向にあります。
この年代の失踪といえば、神隠しというよりは家出、または認知症等による徘徊といった方がしっくりきます。
実際に疫病による割合は27.5%と、最大の割合を占めています。
うち20.1%は認知症原因であり、高齢社会の一種の課題であるともいえます。
次点では家庭関係で16.5%と、家出の原因ではないかと素人ながら考えられます。

さらに発見される割合ですが、失踪届受理当日のうちに発見されたのは33,640人。次いで1週間以内に発見された人数は、24,548人。
その後発見された人数も合わせると、71,910人が警察又は家族によって発見されています。
なので令和元年の実際の行方不明者数は、15,000人ほどになります。
結構居なくなってね?って思いますが、令和元年の日本の総人口は約1億2600万人なので、全体的な行方不明者の割合としてはかなり少ない方だと思います。
あくまでもこれは、受理された失踪届を元にしたデータのため、ホームレスの方はわかりませんが。

しかし、翌年以降に発見される場合もありますので、全くの所在不明ということも少ないのではないかと思われます。

現代では、神隠しといった現象とは程遠い、むしろありえないといった感じですね。


現代社会では、神隠しは起こり得ないのでしょうか。
答えはNOです。ごく最近でも神隠しのような、行方不明事件は起きています。それも令和元年に。


2019年(令和元年)9月21日。
山梨県にて、7家族27人のグループでキャンプ地を訪れていた、当時小学一年生の小倉美咲ちゃんが行方不明になっています。
わずか10分ほど、母親から離れた間の話でした。
この件はごく最近であったことから、皆さんの記憶にも新しいかもしれません。
また、母親への言われなき誹謗中傷が問題となった事件でもあります。

2020年10月27日には「ザ!世界仰天ニュース」にて、当時の内容が再現VTRとして放送されました。

興味のある方はHuluにて視聴可能ですので、無料トライアル期間等を利用して視聴してみてください。


再現VTR通りであれば、美咲ちゃんが母親の視線を切れてから、遊んでいる子ども達に合流するまで迷うはずがない一本道。
「山に入るはずがない」と断言しているのは引っかかる表現でしたが、確かに考えにくく、警察を導入した本格捜索でも調べられたようです。

警察犬を導入しても反応はなく、ヘリコプターやドローンを使った捜索も手がかりはなし。
まさに神隠しとも言える事件です。


警察犬も反応しなかったという点で、首を捻りたくなる事案ではあります。
しかし、この警察犬というのも割とアテにならないようです。


2016年5月28日。
親のしつけとして、北海道の山に1人置き去りにされ、行方不明になった少年がいました。
田野岡大和くん。当時7歳です。
美咲ちゃんと年齢も近いですね。

この事件も、事件後すぐに父親の証言が虚偽であったと判明したため、父親が疑われた事件ということで記憶に残っている人もいるかもしれません。
大和くんは自力で自衛隊の演習場まで到達。
その後隊員に発見されたことで、奇跡的に命に別状がない状態で発見されています。

この事件では、虚偽の報告による初動の捜査の違いなどもありますが、警察犬もしっかり導入されています。
ですが、警察犬は大和くんについて全く反応を示さなかったようです。
こうして見ると、犬の嗅覚は凄まじく鋭いというイメージが覆りそうなもの。
警察犬もその時の天候や場所によっては判断するのが難しい状況もあるようです。

美咲ちゃんと大和くんを一概に比べることは出来ませんが、似た状況である以上、美咲ちゃんも山奥に1人で入ってしまった可能性もあるのかもしれません。
男女の違いはあれど、私が「山には入るはずがない」と断定していた表現に引っかかったのはコレです。



神隠し。
突然消えた最愛の人を、残された家族は永遠に消えた家族を待ち続けます。

つい昨年も、坪野鉱泉に肝試しに行くと言って失踪した女性2人の遺体が富山湾から見つかりました。
この事件も、目撃者が証言をしなければ永遠に未解決だったかもしれません。
どんな形であれ、家族と再会できたことは彼女たちにとって幸運だったのでしょうか。


1989年 松岡伸矢くん行方不明事件
1998年 赤城山主婦失踪事件
2005年 坂出タケノコ掘り女児行方不明事件
etc...

今も行方不明者を待つ家族は大勢います。
私たちにできることは、10年も20年も待ち続ける家族のために、事件を風化させないことが大切なのだと思います。

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